製造業のコンサルティング会社の選び方と、費用の決まり方
製造業のコンサルを選ぶときは、会社の大きさや肩書きより「現場に入るか」「誰が来るか」「終わったあと社内に何が残るか」を確かめます。費用は、関わる範囲・期間・人数・頻度で決まります。依頼前に決めておくことと、初回の相談で聞くべき質問をまとめました。
この記事の要点
- 選ぶときは会社の大きさより「現場に入るか」「実際に誰が来るか」「終わったあと社内に何が残るか」を確かめる。
- 費用は、関わる範囲・期間・人数・頻度の4つで決まる。依頼前に「何を変えたいか」と「いつまでに」を決めておくと、見積もりが比べやすくなる。
- 初回の相談で、似た現場での経験、進め方、社内の負担、終わり方の4つを質問する。
製造業の課題を外部に相談しようと思っても、コンサルティング会社は数が多く、違いが分かりにくいものです。大手のファームから、一人で活動する専門家まで、規模も得意分野もさまざまです。
この記事では、製造業の現場改善・品質・DXの相談先を選ぶときに確かめること、費用が何で決まるか、初回の相談で聞くべき質問を書きます。
選ぶときに確かめる3つのこと
1. 現場に入るか
製造業の課題の多くは、会議室の資料ではなく現場にあります。不具合が出る工程、段取りに時間がかかる理由、手順書と実際の作業のずれは、現場を見ないと分かりません。
提案書やレポートを納めて終わる支援と、現場に入って一緒に手を動かす支援は、別のものです。どちらが合うかは課題によりますが、現場の仕組みを変えたいなら、後者を選びます。
2. 実際に誰が来るか
会社の実績が豊富でも、実際に担当する人の経験が課題に合っていなければ意味がありません。初回の相談で、担当者の経歴と、似た現場での経験を確かめてください。
業種が同じであることより、課題が似ていることのほうが大切です。たとえば、少量多品種の段取り替えや、顧客監査への対応は、業種をまたいで共通する部分が多くあります。
3. 終わったあと、社内に何が残るか
支援が終わると元に戻る、というのが外部支援でいちばん多い失敗です。手順書・会議体・KPIが、社内の人の手で回り続ける状態をつくることを目標にしているかを確かめます。
作業を代行してもらうと、その場は早く進みますが、社内には何も残りません。社内の誰が引き継ぐのか、その人をどう育てるのかを、最初に話し合える相手を選びます。
費用は何で決まるか
コンサルティングの費用は、主に次の4つで決まります。
| 決まる要素 | 内容 |
|---|---|
| 範囲 | 一つの工程・一つの課題か、複数の部門にまたがるか |
| 期間 | 数日の診断か、数か月のプロジェクトか、継続的な顧問か |
| 人数 | 担当者が一人か、専門の異なる複数人のチームか |
| 頻度 | 現地に毎週入るか、月に1回か、オンライン中心か |
同じ「品質改善」でも、上位の不具合2〜3項目に絞るのか、全工程を見直すのかで、必要な工数は大きく変わります。見積もりを比べるときは、金額だけでなく、この4つが揃っているかを見てください。
関わり方の主な種類
- スポット診断:現場を見て、課題の整理と打ち手の方向性を示す。まず全体像をつかみたいとき
- プロジェクト:テーマと期間を決めて、成果物と定着まで伴走する。取り組むテーマが決まっているとき
- 顧問(月次):月次で経営・現場の相談役として継続的に関わる。社内で回し始めた仕組みを支えたいとき
最初から大きな契約を結ぶ必要はありません。診断で課題と優先順位を確かめてから、次の関わり方を決めるほうが、結果として費用のムダが少なくなります。
費用を抑える方法
人材育成やDXの取り組みには、国の人材育成事業や補助金を使える場合があります。ただし、交付決定の前に契約・発注した費用は対象外になるのが一般的です。外部支援の契約より先に、制度を確認してください(補助金は「交付決定の前」がすべて)。
依頼の前に決めておくこと
相談の前に、次の2つだけ紙に書いておくと、話が早く進みます。
- 何を変えたいか:「不具合の流出を止めたい」「段取り時間を減らしたい」「DXの担当者を育てたい」など、困りごとの言葉で構いません
- いつまでに:顧客監査の日程、新ラインの立ち上げ、決算期など、期限があれば書きます
課題がまだはっきりしない場合は、それ自体を相談してください。現場の状況を伺って、何から始めるかを一緒に整理するのも、外部支援の役割です。
初回の相談で聞くべき4つの質問
- 似た現場で、どんな支援をしましたか。 業種より課題の近さを確かめます。数字で語れる事例があるかも目安になります
- 最初の1か月で、何をしますか。 進め方が具体的に答えられる相手は、現場を知っています
- 社内では、誰がどのくらいの時間を使う必要がありますか。 社内の負担が分からないまま始めると、途中で止まります
- どうなったら支援を終えますか。 「社内で回る状態」を終わりとして描けているかを確かめます
よくある質問
小さな会社でも相談できますか。 多くのコンサルティング会社は、規模に合わせて関わり方を設計します。少量多品種の加工会社のように、少人数の現場ほど、一つの改善が全体に効きやすい面もあります。
大手のコンサルティングファームと、専門家の小さな会社はどう違いますか。 大手は大人数のチームと幅広い分野を持ち、大規模な変革に向いています。小さな会社は、経験のある担当者が直接現場に入りやすく、課題を絞った改善に向いています。どちらが良いかは、課題の大きさと、社内で誰が引き継ぐかで決まります。
外部の支援は何をしてくれますか。 当社の場合は、トヨタ生産方式(TPS)を土台に、現場診断、段取り替えや品質の仕組みづくり、DXの進め方の整理、社内推進者(右腕)の育成を、現場に入って一緒に進めます。最初の30分の相談は無料で、課題がまだはっきりしない段階でも構いません。
相談先を選ぶ前に、「何を変えたいか」と「いつまでに」を書き出してみてください。それが、比べるときの物差しになります。