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少量多品種の段取り替えを短くする、最初の一手

段取り替えが長い現場で最初にやるのは、作業を速くすることではありません。機械を止めているあいだにやっている作業を書き出し、「止めなくてもできる作業」を外に出す。これだけで段取り時間は目に見えて減ります。

少量多品種の現場では、段取り替えの回数が多く、1回の段取りが長いほど生産能力を食われます。「作業者が慣れれば速くなる」と待っていても、段取りは短くなりません。

段取り短縮で最初にやるのは、作業を速くすることではなく、段取りの中身を見えるようにすることです。この記事では、最初の一手と、その後の順番を書きます。

段取り替えの時間は、ほとんどが「止めなくてもできる作業」

段取り替えの作業を、機械を止めているあいだに行う内段取りと、機械を動かしたままでもできる外段取りに分けます。

多くの現場で、次の工具や材料を探す、図面を確認する、治具を取りに行く、といった作業を、機械を止めてから始めています。これらは本来、機械が前の品番を加工しているあいだにできる作業です。

内段取りのうち、外に出せるものを外に出す。段取り短縮の考え方の大半は、これに尽きます。新しい設備も、治具の改造も、その後です。

最初の一手:段取りを1回、丸ごと記録する

段取り替えを1回、最初から最後まで記録します。

  • 機械が止まった時刻から、次の品番の良品が出た時刻までを測る
  • そのあいだの作業を、時刻付きで書き出す(「工具を探す 3分」「治具を取りに行く 2分」)
  • スマートフォンで動画を撮っておくと、あとで見返せます

作業者が自分で記録すると「見られている」と感じて普段と変わってしまうことがあります。記録の目的は人の評価ではなく、作業の分類だと最初に伝えてください。

記録を3色に分ける

書き出した作業を、3つに分けて印を付けます。

分類 内容 例
止めなくてもできる 機械の稼働中に準備できる 工具・材料・図面の準備、治具の取り出し
止めないとできない 実際に機械に触る作業 治具の交換、原点出し、試し加工
探す・待つ・歩く 価値を生まない時間 工具を探す、担当者を待つ、倉庫まで歩く

多くの現場で、1つ目と3つ目を合わせると段取り時間の半分を超えます。ここを外に出すだけで、設備に手を入れずに段取り時間が減ります。

2週目からやること

外段取りの「置き場」と「順番」を決める

次の品番に使う工具・治具・材料を、機械の脇の決まった場所に、使う順に並べておく。これを「段取りキット」として型にします。誰がいつ準備するかも決めます。

内段取りの手順を標準にする

機械を止めてからの作業を、順番と目安時間つきで手順書にします。写真付きで、機械の脇に貼る。作業者ごとのやり方の違いがなくなると、時間のばらつきも減ります。

時間を毎回記録する

段取りごとに時間を記録し、週に1回並べて見ます。減っていれば手順が定着している証拠、増えていれば何かが崩れています。測り続けることが、定着の一番の近道です。

治具や設備に手を入れるのは、その後

ボルトをワンタッチにする、原点出しを不要にする、といった改善は効果が大きい一方、お金と時間がかかります。外段取り化と手順の標準化で減らせるだけ減らしてから取り組むと、投資の対象が絞れます。

当社が支援した海外の自動車部品メーカーでは、この順番で段取り替え時間を60%短縮しました(事例)。最初の数週間は、設備には一切触っていません。

少量多品種だからこそ効く

大量生産の現場では段取りは1日に数回ですが、少量多品種では1日に何度も起こります。段取りが10分減れば、その分だけ毎日、生産できる時間が増える。少量多品種の現場は、段取り短縮の効果が一番大きく出る現場です。

よくある質問

作業者が「記録する時間がない」と言います。 最初の1回だけで構いません。記録するのは管理者や改善担当で、作業者はいつもどおり作業してもらいます。1回の記録で、外に出せる作業の大半は見えます。

段取りの標準を作っても、人によってやり方が戻ってしまいます。 手順書が「読むもの」になっていることが多いです。機械の脇に写真付きで貼り、段取りキットの置き場を物理的に固定すると、戻りにくくなります。

外部の支援は何をしてくれますか。 当社の場合は、現場診断でムリ・ムダ・ムラを洗い出し、段取り替えの短縮と標準化の指導、標準作業・作業手順書の整備、工程KPIの設計を、現場に入って一緒に進めます。


段取り替えの記録は、機械の脇に立って1回見るところから始まります。次の段取りのとき、時計を持って隣に立ってみてください。

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